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廓日記 その四

さあ 今日は「廓日記」前半部の1番ピークどころです。
R18の表現があります。自己責任でお読みください。
あまりリアルに描くと 怖がって終いまで読んでいただけなるかもしれないので
今日は TVドラマ・映画の演出風にお伝えします。
終いまで どうぞお付き合いください。

その元廓屋敷に引っ越したその日
私 勘春は 寂しい女の汗と涙の浸み込んだ大きなベッドで寝たのです。
(回想シーン)
「スナック魔笛」の雇われママ麗子は その日 久しぶりに一人寝ではありません。
隣の男は 心地よい寝息を立てて眠っています。
麗子は この男の寝顔を見ているときが何より幸せを感じる時なのです。
下から男を見上げている時よりも 
上から、あるいは横から静かに寝息を立てて眠ってるこの男を見てると
殺してやりたいほどの幸せ衝撃にかられるのです。
どうか、このまま朝が来るように。

「あぁ~、眠ってしまった。そろそろ帰るな」
「お願い。今日は 泊まっていって」
「そんなことできるか」
「だったら せめて朝の鳥が鳴きだす前まで・・・」
「バカだなぁ~。俺も帰りたくない。でも これも お前とのこの時間を取るためなんだ。分かるやろう。じゃぁ」
麗子は 寂しい一人寝の夜以上に 男と逢った夜は 倍の涙を流すのでした。

そんな涙の浸み込んだWベッドで勘春は眠ったのです。

勘春は ウトウトした頃 なんだか首筋に冷たいものを感じます。
くすぐったいような寒いような。なんだろ~。
眠い目を薄めに開けますと 暗闇の中 目の前に知らない女が私を覗き込んでいます。
そして 1秒半 寂しく微笑みます。(1秒半。1秒でもなく2秒でもありません。1秒半です)
暗闇だから 本来は見えないのですが そこは映画の演出 顔だけが浮かび上がります。
「起 き てぇ~。お は な し しましょう~」

一方 3階の竿師Cは いやというほどの女の泣き顔を写してきた鏡台の前で 眠ったのです。
場面は 3階Cの部屋。
Cもウトウトしたものの なんだか寝苦しさを感じています。
水でも飲むか、・・・・・・
「鏡の裏には別の世界がある」と勘春が言っていたのが気になっていたので
鏡台にシーツを掛けて寝たはずなのに そのシーツが取り払われてる。
なんでぇ?・・・目を凝らして見ると 誰かその鏡台の前に人の気配を感じます。
そんな訳あるもんか。更に頭を振り 目を凝らしますと 確かに人が座っています。

これまた 暗闇の中 本来見えるはずありません。
(映画の演出をご想像ください)
暗闇の中 光源など無いのですが 擬似夜景 しかも逆光です。怪談特有の下方からの光でです。
鏡台の前の人は 背中越しです。しかし その髪の長さ 体のラインの柔らかさで 直ぐに女だと分かります。
襦袢を腰紐まで落し背中をあらわにしています。
そして 胸まであろうかという長い髪を前に 左手で束ね 右手の櫛で 疲れた様子で漉いています。
Cは なんて白い背中なんだ。ここは擬似夜景。しかも 背中が発光してるかの如く青白く光っています。
綺麗だなぁ~
Cは背中に見入っています。

鏡を見て髪を漉いているのです。その鏡の見れば この疲れた白い背中の女の顔が映っているはずです。
どんな顔してんだろう?
でも ああいうときは見れないものです。
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まあ、こんな美人の幽霊なんて2階も3階も 出てきません。

我々が一晩中寝れなかったのは
この元廓屋敷の前の道路が坂道だったのです。
長崎の人は分かると思いますが寄合町から上小島の高台にかかる坂道の始まりがこの廓の前です。
長崎は坂の町です。坂道は雨水が走ると道路が削られるので 石畳が多いのです。

(余談 長崎は多くの坂があります。オランダ坂なんて名前の付いた坂もありますが
殆ど名もない坂道です。幾らあるか分かりません。いろんな人が何度も何度も、また同じ人が何回も幾つ坂道があるか調査しましたが
調査するたびに その数が合いません。しかし、だれが何度数えても なんと上り坂と下り坂の数だけは不思議に同じなのです。
←当り前やんか。ちょっとボケてみました。あぁ~すべったようです。まあ滑って当然です。坂道ですから。
ボケて、滑って、突っ込んで一人芝居です。こんなことして又長くなったと師匠から怒られます)

今は 殆どがアスファルトになっていますが当時はまだ石畳のままでした。
石畳は 天草石 表面は磨いていません。切り出したままの割肌という仕上で 凸凹です。
其の道路の真ん中にマンホール。道路は凸凹、マンホールの施工も不十分、坂の始まりで車はアクセルを踏み込む。
その車が マンホールを踏む度に「ガタン。ガタン」と音を立てます。
「ガタン。ガタン」前輪と後輪で踏むので2回音がします。(なかなか描写が細かいでしょう)

この音で 二人とも一睡も出来なかったのです。
当然 昼間の方が交通量も多く 音もしていたのでしょうが
人間の耳というものは 不思議なもので 騒音がいっぱいあればかえって気づかないものです。
夜になって 周りの騒音がなくなると とてもよく響くものです。

二人が眠れなかったのは 怪談ではなくマンホールの音。
落語の 怪談噺もこんなもの。よく似ています。
ごめんなさい。落語の怪談噺はよくできています。
今日の私のお話は 三文小説。エロ映画のノスタルジック世界でした。

今回は 前半の盛り上がりピークでちょっと長くなりました。
しかし、 後半のピーク 次回は本当に二人して「出たァ~」とここから逃げ出すこととなります。
それまでは 暫く この廓の日常をお伝えします。




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