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学生村の犬

予告通り ワンちゃんの登場です。

私の宿泊した家には一匹の犬が飼われていたのです。
直ぐには気づかなくて 数日後に犬の存在に気付いたのでした。
それは あまりに静かで一度も吠えず いつも納戸の壁の陰で寝ていたからです。
それは ジャーマンシェパードの成犬です。堂々たる体形にキリッとした顔つきをしていました。

その家は お父さん、お母さんの夫婦に 三人の娘さんの家族構成。
娘さんたちは 長女が当時 小六で、末っ子が幼稚園生、来年は1年生と言ってたと覚えています。
お父さんのお仕事は 林業、農業、放牧と多忙な日を送っています。昼間家に居ることはあまりありません。
お母さんは 子供の世話 更に夏の間は 我々学生の世話に追われています。
娘さんの体力では シェパードの成犬を散歩に連れて行く事が出来ません。
だから この犬は 散歩なし いつも繋がれたままなのです。
こんな大型犬 散歩なしでは運動不足でストレスが溜まります。
普通なら イライラするのでしょうが こいつは多分小さい時 ここの家族みんなから大変可愛がられて育ったのでしょう。
気性が穏やかなのです。
お父さん曰く
「こいつは成犬になってから一度も吠えたことを聞いたことがない。番犬にもならないんだ。バカ犬なんだ」
娘さんも
「ジョン(犬の名前)はね、お座りも、お手もしたことがない。バカ犬なんです」

一番下の娘さんが よくこのジョンと遊んでいました。
遊ぶと言っても ただ話しかけるだけですが。
当時 CMソングで「♪〇〇のおばちゃん♪」が流行っていて それを替歌にして
「♪うちのジョンを呼ぶときはバカ犬のジョンと言います♪♪」とジョンに歌って聞かせています。
ジョンもこの子が一番好きだったのでしょう。「ジョン」と呼ばれると尻尾を思い切り振ります。
我々学生が「ジョン」と呼んでも 同じく尻尾を振ります。
娘さんが「バカ犬ジョン」と呼べば 更に尻尾がちぎれんばかりに振り 下半身から震わせ愛想を振りまきます。
我々が同じく「バカ犬ジョン」と呼べば 同じく一段と大きく尻尾を振ります。

自分の名前が「ジョン」なのは分かっているのです。
そして フルネームが「バカ犬ジョン」と知っていたのでしょう。
多少は 賢かったのかな?
でも お座りも お手も出来ない。餌の「待て」も出来ない。
餌のお椀が自分のテリトリーに入った瞬間もさぼるよう食べ散らかします。

躾の全くできていない やっぱり「バカ犬ジョン」なのです。
しかし 一度も吠えない。気立てだけは穏やかな犬なので 
可哀そうなので 暇な学生が散歩に連れ出します。
実は犬をダシに 「今度向こうの家に来た女学生かわいい」なんて聞くと その近くを散歩して
「まあ、立派な犬。触ってもいいですか」なって事にならないかなって事を期待しての散歩です。
しかし、そんな思惑バカ犬には分かりません。

家を出た瞬間 走り回ります。主人代理の私のペースに合わせるとか、止まれ、伏せなんて言ったところでどこ吹く風です。
こっちが いくら可愛い学生の居る方に行こうとしても 力はジョンの方が上です。
ジョンの好きなところは 大体同じところです。
集落から一寸離れた山のすそ野、
そこに 関東のある美術大学の山の家が有ったのです。
ジョンは 何故かその周りが好きなのでした。

その山の家 月に3~4度 美大生らしき学生が 男女3~4人で泊っていきます。

舞台設定が出来たところで 今日はここまでです。
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