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救急搬送2

昨日からの続きです。昨日の記事からお読みください。

「氏名・年齢不明・約30代と思われます。意識混濁。容態Ⅱの30。呼吸は乱れ呼吸数不明。血圧・・・・・・・受入れ可能ですか?」
こんな患者さんが担ぎ込まれました。
「駐車場で倒れているところを 通報を受け搬送しました。住所、氏名不明です」
「大丈夫ですか?お名前は?」
聞こえていないようです。ただ 体を硬直させハァハ、ハァハ、ハァと小刻みに息を吸っています。
医師や看護師は 脈をとったり、血圧を測ったりしています。原因を探っているのでしょう。

服装は 白の光沢のあるパンツに 上も光沢のあるプリントシャツ。首には金のクサリ。
まあ 社会通念上その筋の方です。
この筋の方はある程度のユニホームというか 好みの服装があるようです。
一番入社(組)したてというか試験雇用期間は 上下繋ぎの紺の戦闘服が好みのようです。
はれて 一員となりますと上下揃いのジャージとなり、
下に何人か部下ができますと、
このような 白のパンツにドレスシャツ。多分上着もあったのでしょうが、どこかに置いてきたのでしょう。

容態を聞いても答えられません。アルコールの匂いもしません。見た目外傷もないようです。
このような世界の方です、どこかで喧嘩でもして出血はないが内蔵を痛められてるかもしれん?
「服を脱がしてみろ」
「服脱がしますよ。失礼しま~す」と看護師が服を脱がしますと
線画の入れ墨 まだぬり絵段階です。色が少し入った状態です。
でも、体には何も異常なし。
?????・・・・・ドクターも首をかしげていましたが、しばらくして、事務の方へ
「おい、紙袋もってこい」
「紙袋ですか?そんなものありません」
「スーパーのレジ袋でもいい。早くもってこい」

持っていくと 看護師に「それを口に当てろ」
「はぁ?・・・・・」看護師も直ぐに理解したのでしょう。
それを患者さんの口に当てる。
ハァハ、ハァハいってたのが 暫くするとハァ~~ハァ~~~と段々と呼吸が落ち着いてきました。
そうです。過呼吸だったのです。
ストレスでパニック状態になり 不安で息を吸うだけ吸って吐くことを忘れるのです。
過呼吸というと 思春期の女子がよく掛かります。
今年の紅白歌合戦でもアイドルが何人か過呼吸で倒れたようです。←(ネットニュースより)

大人の女性も掛る人はいるんですが、あんまり 中年のおじさんは聞きません。
まして、この筋の方には似合わない病名です。
しかし、これは 極度のストレスが原因です。
よく考えてみると、この筋の方は 一般の会社員よりうんとストレスが多いのです。
頭(カシラ)と言われる課長や、親父(オヤジ)と言われつ部長・専務。
誰の派閥に付くかで その後の出世に響きます。
そして、その上下関係は一般の会社どころではありません。
ちょっと しくじるとそれは 始末書ではすみません。痛い目にもあいます。
さらに 過酷な営業ノルマ(しのぎ)。他社(組)との競争(抗争)もあります。
その上に 警察の手入れ。すごいストレスです。
こんな世界の中に居れば 過呼吸にもなります。
これに耐えられる人だけが この世界に残っていられるのでしょう。

その日は 2・3時間もすると落ち着いて「入院するまでも無かろう」と帰っていかれました。
そして、2か月後、また救急搬送されてきました。
今度は 医師も看護師も受付も分かっています。誰もあわてません。
そして、さらにその2か月後もまた救急搬送。
3回目の治療の後、看護師長が彼に向って
山ちゃん(匿名です)、あんたこの商売向いてないよ。足洗って職替えしなさい」と諭しています。
凄いですね。師長ともなれば 医療指導だけでなく人生指導もやるようになるんです。
その甲斐あって 彼はバッタリ来なくなりました。
師長の言葉が効いたのか?いやいや、ただ忘れていただけなのですが

6か月ぐらい経ったとき
ある警察から電話があり
「〇〇警察ですが、いま拘留中の者が急に倒れて、家族に連絡を取りますと
 『以前、そちらで何度かお世話になったとか』 診ていただけますか?」
直ぐに救急搬送です。いつもと違うのは 刑事らしき人が3人も付き添っています。
顔を見ると あの山ちゃん(匿名)です。

いつものように治療をしていますと 遅れて師長がやってきました。
診察室に入るなり刑事さんたちを見て「あっ、付き添いの方は 外でお待ちください」
医師が「師長、いいんだ。この方々は警察の方々なんだ。拘留中の人なんだ」
「はぁ~、拘留中」
そして、山ちゃんの顔を覗き込み
「あっ!山ちゃんじゃないの。・・・・あんた、しっかり仕事してたのねぇ~
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