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廓日記 その参

いよいよ 不動産屋共々元廓屋敷見学です。
物件は 木造3階建て。貸し部屋は2階と3階です。
1階には 縦格子。窓は改修され板壁になっておりました。
以前は ここが映画やなんかでよく見る 吉原の女郎の顔見せ部屋(飾り窓)だったのか?
それとも廓オーナーや女性の生活の場だったのかもしれません。
どちらにしても1階には 何が有ったのか不明です。

道路から玄関の格子戸を入っると すぐに「ここで靴を脱いでください。靴はこの靴箱か部屋までもって上がって下さい」
昔はここが下足室。
階段は 1間ほどある木製階段で2階に上がります。2階には 5・6部屋だったと思います。
2階から3階への階段は 巾が狭くなって半間ほど。
3階には3・4部屋だったように記憶しています。
どちらの階段もよく磨かれて黒光していました。
この階段を 女性は 口に千代紙を咥え、右手にタバコ盆を下げ、左手は裾を踏まないように着物をたくし上げながら
なんど往復したことやら 
女は 素足。客は黒足袋。
その彼女・彼らに磨かれ 段鼻は丸くなっています。
そして、どちらの階段も一寸傾いています。
この一寸の傾きが この建物の歴史・風情を100%醸し出しています。
便所・洗面は共同。当然風呂はありません。
共同の流しが有ったかどうかは 1度も自炊をしなかったので覚えていません。

建物は 坂本竜馬も遊んだという「丸山花月」「長崎検番」のすぐ隣です。
道路向い側は旅館、その隣が銭湯です。だから風呂には困りません。

私は2階の変形8帖の間。竿師Cの部屋は3階の7.5帖の部屋です。
どちらも遊郭ですので畳敷きです。
私の部屋8帖といえば大体真四角ですが そ細長い8帖です。
Cの部屋7.5帖。今のワンルームは面積を畳勘定で7.5とか端数が表示されますが
当時の不動産は本当の畳枚数で表示していたのです。
7.5帖?この0.5帖(半帖)は何?
8帖の間に半帖の床の間を押し込んだ造りです。
私の部屋には1間の立派な床の間が付いていました。
遊郭の個室故 どの部屋にも床の間付いています。
床の間はあっても押入はありません。(布団は敷放しか 布団部屋から運んだのでしょう)

そして 私の部屋には 大きな大きなWベッドがありました。部屋の半分を占領しています。
不動産曰く「これは前の方が置いていきました。ご自由にお使いください。処分しても構いません。
ただ、処分費用は自己負担で」
「はぁ~。それって何?ここ以外に布団敷けないじゃん。どこの誰が使った分からぬベッドなんて使いたくねぇ」と思いましたが
まあ 仮住まいです。場所柄 前の住民は水商売の人でしょう。
このベッドは どれほど 女の汗と涙が浸み込んでいるのか分かりません。
よ~し。ここは 想像力で乗り切ろう。
前の住民は 明るすぎるほどのネアカ。そして ぽっちゃり。そして 美人ではなくそれなりの人。
絶対にこんな上記(↑)のような女ではなく 一寸寂しい影を漂わせ スレンダーで アンニュイな物静かな美人を想像しよう。
そうだそうだ。そんな女性の汗、涙なら抱かれて寝れるだろう。

そして、Cの部屋にはベッドではなく 古い古い鏡台が残されていたのです。3面鏡とかドレッサーなんて物とは違います。
1枚の鏡の下に引き出しのついた歴史物です。
女が 鏡に映った男の寝顔を見ながら 乱れたうなじの毛をつげの櫛で掻き上げてる画が似合う代物です。
Cは 昔から「俺は霊感がある」なって言っていました。
そこで 私は一寸意地悪。
「鏡というものはこの裏にもう一つ別の世界が隠されてんだ。この鏡はどれだけ女の泣き顔を写してきたんやろなぁ~」

とりあえず その日は 私は 女の汗と涙の浸み込んだベッドで
Cは 何人もの泣き顔を写してきた鏡台の部屋で寝たのです。

でも、その日 私は一睡もできなかったのです。
朝になり Cが青いやつれた顏をして飛び込んきました。
「俺、おれ、オレ、一睡も出来なかった。お前なんともなかったか?」
「あぁ、俺も寝てない」

続きは次回に・・・・・。

(セクハラ的表現は その時代に沿ったこととお許しください)



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